ヨーロッパ鉄道一人旅写真帖

旅費をケチった前回は雪と寒さのオフシーズン、今度は安心オンシーズン、
青空広がるヨーロッパ。気合十分旅立つも、変ったの季節だけ、話せる言葉は
「あいうえお」解らぬ言葉は「ABC」。変らぬ頭のオジサン鉄がそれでも構わず
乗り鉄はドイツにスイスにオーストリア。相も変らぬ駅撮りで綴る旅の写真帖。

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9月23日
ウムッ 今日も晴れ!流石に高い飛行機代を払っただけの事はあるゼ、一人悦に入りながら朝の清々しい光の中、今回も怪しい線路のある工場の中を駅に向かう。Winterthurの駅から線路に沿って南西に広がる広大な工場群は今では住宅やオフィスに店舗、駐車場、そして写真にある「STADLER」の文字で判る様に今も稼働中の車輌工場など、ナカナカ興味深いスペースなんです。駅に着いて食料を買い込みホームで待っているとMuenchen行きのECが入って来ました。本日はコノ列車に乗ってお隣ドイツのLindauまで途中オーストリアを通過して1時間23分のインターナショナルトラベルで御座います。

オープンサロンが主体のSBB客車なんですが、コンパートメント仕様の1等車が編成に組み込まれていたので、その一室を独り占め。最近流行の振り子電車や高速列車用固定編成電車ナンカとは違って、EC用だけど、コチラはいたってシンプルでモニターもイヤホンジャックもPC用電源も無いけど、居住性は最高ですよ。向かいのシート同士をスライドしてくっ付けると簡易ベッドの様になり、空いていれば寝そべりながらユッタリ鉄旅なんて事も出来ちゃうんですね。コレでLindauまでお値段37.20EUR邦貨で約6000円なりっても、1等のパス持ってるから乗れるんですけどネ。

列車はスイス・オーストリア国境の駅St.MargrethenからOeBBの縄張りに入りボーデン湖の東端を回り込み、湖上の築堤を通りLindau島の中央駅に到着。Lindauはアチラでは一寸は知られたボーデン湖に浮かぶリゾート地ですが、アッシは此処に勿論観光に来た訳じゃ御座いません。そう、今日はここに
プロイセン王国鉄道で造られDRGに引き継がれ全部で3500両以上も製造された、欧州の名急客機P8
こと38型蒸気機関車が臨時列車を牽引してLindauに来ると言う記事をネットで見つけて、それを拝みに来た訳なんです。到着予定時刻は12時ピッタシ、駅のホーム先端に掛かる道路橋で待つ事に決定。

P8が来るまで小1時間あるけど、道路橋上の眺めはご覧の様な絶好のローケーション、何が心配で橋という橋はドコカシコモ金網で囲っちゃってる極東の鉄道とは大違いでしょ。当然の如く道路橋に居座り
シャッターの嵐を吹かせます。先ずはECを牽引したOeBBの1044型電気機関車が築堤を渡って入線。

お次はジーメンス儀謹製、DBの短距離ローカル線用 642型電気式DMU(ディーゼルカー)が左側の非電化線を走って来ました。コイツが出来た辺りからメーカーレディーメイドの没個性的な車両が増殖し、
どの国に行っても色違いの同じ形の車両バッカリでガッカリになっちまいましたねぇ。

道路橋の上はどこかの国と違って激パ状態ナンテ事にはならず、半分観光客の様な人達がチラホラ。
流石、鉄道趣味は優雅な大人の道楽という文化が根付いている欧州でございます。そうこうしている内に時計の針はお約束の12時を指したけど、煙も見えず音も聞こえず、一向にP8の来る気配もしない。

更に待つこと1時間、到着予定の12時より1時間送れてヨウヤク白煙が見えてお目当てのP8が築堤の上を近づいて来た。ココゾばかりにシャッターを切りまくるが、なんと!カマはテンダーを先頭にして、逆向きで迫ってくるはないか!アァ〜ア光線状態絶好のバリ順だったのに、意気消沈でございます。

しかし、地球を半周してこのP8を撮り来たわけですから、ここは気を取り直してホームに降りて機回しなどを撮り捲ります。P8のサイドのフォルム実に優雅でございましょ。西洋のカマより、日本のカマって雰囲気がしませんかぁ、みなさん。

撮機回し入換えの後、給水して暫しお休みのP8ですが、突然現れた蒸気機関車に非鉄な観光客達が見物に沢山集まってきました。ドイツの人達も蒸気機関車には特別な思いを持つんでしょうね。さて、
アッシはP8の返しを撮るべく思案を張り巡らせる。ここで出発撮ってもモロ逆光なんで、何処かに移動して撮る積もり、P8は確かボーデン湖に沿って西に向かいSingenから北上の筈。と言う事で撮影地をFriedrichshafenに決め先回りでございます。途中駅のホームに待っていた、いつまで経っても絶対に列車に乗れないお客さん、実に粋なモニュメントですね。

着きましたよ、Friedrichshafen Stadt駅に。電車は速いけど架線が無い駅ってぇのは宜しいですね、ホームの上に空が広々と広がっていますよ、コレで停まっているDMU(気動車)がもうチョット古いヤツなら申し分ないですけどねぇ。さて、Singen方向に向かって取り合えず歩いて撮影場所を見つけます。

2km近く歩いてFriedrichshafen−Landratsamtという駅の傍で、線路が築堤にかかり登り勾配になる上、道路脇に遮蔽物も無い絶好のポイントを発見しました。直後に650型DMU(気動車)が来たので、早速試撮りして密かに期待を膨らましてP8を待っていたけど、いつまで経っても来るのは赤い色をしたDMU(気動車)にディーゼル機関車だけ、時刻は18時になろうとしている、これはマズイぞ、明るい内にWinterthurに戻れなくなっちまう。横文字の情報、適当に訳したのが運の尽きでございました。

時刻表を調べるとLinndauを経由鉄道だけでスイスに戻ると22時頃になっちまう、この時間じゃ夕飯を
確保は難しいし、治安の良いスイスでも駅から夜の10時にはあの薄暗い路を歩きたくないし、何か良い
方法はと考える。そうだ!フェリーでボーデン湖をショートカットだ!Friedrichshafen Stadtから一駅、Friedrichshafen-Hafen到着後一目散にフェリー乗り場へ、出航準備を終えた船に速攻乗船一安心。

夕暮れのボーデン湖で船旅を愉しむ事約40分、フェリーは紅染まるスイス Romanshornの港に入港。フェリーを下船してスルーでスイス入国と思ったら、簡単な入国チェックがあり若いあんちゃんが荷物の
チェックされていました。どんな制限があるか知らないけど、ドイツの方がスイスより物価が安いんです。

駅のホームに上がりWinterthur方面への列車を確認して隣のホームを見るとSOBのRe446が後尾に
付いたVORALPEN-EXPRESSが発車待ちでした。この列車はRmanshorn始発で幾つかのローカル線を繫ぎSt,Gallen-Rapperswil-Arth・Goldauを経由してLuzernを結ぶ急行列車で、沿線風景はこれぞスイスという旅を楽しませてくれる事請け合いの列車なんです。それにRe446も元SBB Re 4/4 W、このカマは試作的要素が強くって製造僅か4両のレア物でございます。

目的のP8は正面から順光で撮る事叶わず、涙の一日なるかと思いしも久し振りの船旅と4両しかいないレアなカマを最後に見られてのでマアマアの一日でございました。

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