Part3

新得 零時

新得駅今零時。水銀灯の光を受けてレールは青く冷たく光っている。そしてレールは聳え立つ剣のもと、
そこしれぬ静寂の中へと消えていく・・・ここは目前に狩勝の難所を控えた駅、新得

 目前に控えるのは根室本線最大の難所"狩勝峠" しかし近代化の波はここにも押し寄せ、今鉄道は
いとも簡単に山を越えていく。D51がC57があえぎあえ ぎ登っていた姿、それは今となっては遠い幻にすぎない。
あの暗闇の中、蒸気機関車の汽笛はもう聞こえない。苦闘の跡をつづる旧狩勝の軌跡も、今は静かに 
眠っている。しかしいかに近代化が推進されようとも、怒り狂った大自然の力に人間は対抗できるのだろうか。
冬、あの白い悪魔は一度荒れ狂うと列車を止めてしまう力を 持っている。 冬の狩勝で吹雪に閉じ込められた
列車、あの時根室駅で別れその列車に乗っていた2人の少女達・・・狩勝峠はそんな思い出をも覚えてくれて
い るのだろうか。今はただ眠っているだけ

しかし鉄道は夜も眠っていない。そして夜行列車には一つのドラマがある。流れ行く一本の光。月の光を受けて
北の鈍行寝台は姿をあらわした。ヘッドライトが驚くほどまぶしい。ガタンゴトン、ゆっくりとジョイント音を響かせ、
目の 前を通過していく。ひとつひとつの窓辺には、それぞれの旅の思い出がつづられているのだ。
 去り行くテールランプ。すっと吸い込まれるように、狩勝の静寂の中に消えていった。今日は狩勝の自然も
優しく微笑み、きっと良い夢を見ることだろう。旅人たちよ・・・・・

nn

深夜、新得を出発する列車     なお新得で撮影の三枚は424列車のものです

流れる車窓に人影一つ  座席車も眠っている人が多いのだろうか   424レ

再び夜の闇に消えていく列車  旅人たちも良い夢を見ているのだろうか  424レ、この列車は
駅から10分くらいの踏み切りで撮影!! しかし深夜の新得でひとり踏み切りにいるのは怖かった

10月とはいえ、北海道の山間部は零度以下の冷え込み  窓も曇っている

ちなみにこの列車にはこんなデーターがありました。定員はハザ336  ハネ108名です

 

区 間 ハ ザ ハ ネ
小樽ー札幌 125 12
札幌ー岩見沢 335 48
岩見沢ー滝川 116 61
滝川ー芦別 82 61
芦別ー富良野 80 61
富良野ー新得 51 61
新得ー帯広 69 61
帯広ー池田 72 35
池田ー釧路 142 26
 

なお、人員は左側の駅を出た時点、 最終地のみ釧路到着前の数です

みみ

ようやく夜があけた  冷たい空気の中、誰かを待つ人がひとり佇んで・・・

窓の外には入れ替えの蒸気機関車の姿も  朝日がまぶしい    帯広にて

まもなく釧路 長い旅もまもなく終わりだ

旅の終着は釧路 旅人たちは町の中へと消えていった

釧路に到着して役目を終えた423列車    この夜再び夜の旅につくまでしばしの休息だ

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