太平洋石炭販売輸送

 

北海道の鉄道は石炭の輸送からその建設がはじまりました。しかしその北海道の経済を支えた石炭産業も衰退の一途をたどり、
最後まで残った釧路の太平洋炭鉱が1月31日その営業を終え、ついにその石炭産業の歴史に幕を閉じました。まだ研修用の
採掘作業は行う予定ですが、この先はどうなるか全く不明です。我々がこの鉄道を最後に訪ねたのは2002年1月19日のことでした。
今回の釧路訪問ではもう動く姿を見ることは出来ないと思っていたのですが、18日に春採を訪れてみると機関車総出で入れ替え
作業をしているではありませんか。あわててカメラを取り出し、この様子を撮影しました。ここで運行について訪ねると、今日の
運行はなく明日は知人までの運炭列車が運転されるとのこと。ただし時間はわからず、もしかしたら夕方になるかもしれないとの
ことでした。19日は空港で撮影仲間の草薙みかんさんと合流し、釧路湿原号を撮影することになっていました。しかしどうしても
諦めきれず朝8時ごろ春採に行って みると、なんと8時30分頃列車が動くというではありませんか。あわてて地元のO型台風さんに
連絡をとり、急遽この鉄道の撮影ポイントに案内していただく ことになりました。実はこの前年も訪れてはいたのですが、なにぶん
地理に不案内ということで案内していただいたのです。結局このとき撮った上下一往復が、我々にとって太平洋炭鉱専用線の最後の
姿になりそうです。研修のための採掘は行うそうですが、果たして鉄道を必要とするかは全く分からないそうです。寂しいことですが、
もしかしてこのまま???・・・とも思って しまいます。勿論炭鉱関係者、またこの鉄道に従事している方にはもっと重大な問題で、
我々ファンとして寂しい云々という問題ではないのですが。しかしもしできればあの春採湖に沿って、そして千代の浦の海岸線を行く
姿をまた眼にしたいのです。

2002/02/17-19撮影

氷結した春採湖畔を行く運炭列車。

後は春採湖と釧路の住宅街。

こうして見ると凸型DLもなかなか力強い感じがします。
D701は、DD13タイプですがライトの位置が違います。

 

太平洋炭鉱専用線は正式には太平洋石炭販売輸送という会社で、1925年2月に営業開始した釧路 臨港鉄道を前身に持つ会社です。
1979年に臨港鉄道を吸収合併するカタチで発足し、臨港鉄道より引き継いだ東釧路ー春採ー知人ー臨港、東釧路ー城山とい う
路線で営業を開始しました。臨港鉄道時代は旅客営業も行っていましたが、1986年に国鉄東釧路の貨物取扱い中止により路線の
縮小を図り、その後は春 採ー知人の間4,0キロの営業となりました。太平洋炭鉱は海底の炭鉱で、地下深くから掘り出された石炭は
ベルトコンベアで春採の選炭工場に運ばれる。以前はこの間は610mmゲージの凸型電気機関 車で運ばれていましたが、これまた
我々にはワンダーランドとも言うべき鉄道で、こちらは別のページで紹介させていただきます。さて春採の選炭場に運ばれた石炭は
ここから鉄道の手によって知人の埠頭まで運ばれ、ここで船に積み替えられ、京浜地区に運ばれていました。列車ダイヤは平日10
往復程度の列車が設定されていましたが、出炭量で左右され、選炭工場に石炭が溜まったら運行されていたようです。通常12ユニット
(二両連接の貨車を使用していたため24輌)、前後にDLをつけたプッシュプルで運転されていました。

 

春採駅で入れ替え中のD401です。1964年日車製55t機で、
ロッドとバランサーが台車とは別の色に塗装されています。

ロッド式のD301。ホッパー下に入るため屋根が平らになっています。
まぶたの付いた様な白目の大きなライトが、かわいらしいです。

DE601は、電気式ディーセル機関車で有名です。そのスタイルも日本離れしていて
魅力的です。軸配置はB-BですのでDEのEは電気式を表していると思います。

雪の少ない釧路とはいえ、やはり雪かき車はかかせません。

春採湖畔を行く除雪カー。

春採湖ぞいのカーブを行くDE601の運炭列車。

千代の浦の海岸線を行く。

同じく千代の浦の海辺を行く運炭列車、こちらは海辺からの撮影です。

現在の春採から後の丘の上のほうを見ると、ループ状の線路後らしきもの、そして架線
の支柱らしきものが見えます。これがその昔海底炭鉱から掘られた石炭を春採まで
運んでいた専用線の跡です。春採の丘の上にあった、まるで模型のレイアウトのような
線路!! そこには610mmゲージのワンダーランドがあったのです。私はこの専用線を
1974年そして1977年の二回訪れています。今回このページにあわせてUPしましたので、
宜しければご覧下さい。

上の写真を28年前に丘に上って見てみると、ご覧のような光景を目に
することができました。これが太平洋炭鉱のナローの専用線です。

 

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