上   磯  に  て

 

函館から江差線で12キロあまり行ったところに、上磯という駅があります。ここは蒸気牽引の
通勤列 車があり、C58牽引の旅客列車や貨物の姿を見ることができました。しかし鉄道ファンの
間では、むしろ日本セメント専用線の方が有名だったかもしれませ ん。少し離れた
鉱山(万太郎鉱山と峩朗鉱山)から石灰石を輸送していたこの鉄道は、道内では珍しい
電化路線で、東洋電機の凸形の電気機関車や40tELな どが活躍していました。中には可愛い
人車もあり、石灰石列車の後部にちんまりと連結されていた姿を思い出します。私が訪れたのは
1972年3月のことですが、夜行「すずらん六号」で函館に着き、その足で上磯に向かいました。
狙いは勿論朝の通勤列車と専用線でしたが、昼過ぎの青函に乗らねばならず、本当 に僅かの
時間の訪問でした。その後も訪れる機会はあったのですが、結局この一回の訪問に終わりました。
この専用線も1989年には廃止されたそうです。

 

上磯駅で出発を待つ江差線の貨物列車、後方に日本セメントの工場が見えます。

江差線朝の通勤列車は、C58の牽引でした。

上磯を訪れたのはC58は勿論ですが、日本セメントの専用線も大きな目的でした。ここから先はその
専用線の模様を掲載してみました。ほとんど同じ場所、すなわち江差線の土手から撮った写真ばかり、
しかも数枚に過ぎませんが、当時の専用線の雰囲気だけ でも感じていただければ幸いです。

電柱が邪魔ですが、東洋電機の小型凸形電機。ボンネットに鐘があるのがわかりますか??

石灰石を積んで、鉱山から戻った列車牽引は東洋電機40tEL、うしろには人車も連結されています。

その木造人車のアップです。

専用線は、江差線の下をアンダークロスしていました。こちらはちょっと大型の人車というか客車かな。

手前には小型の人車、電気機関車は東洋電機製の凸形25t機です。

これは入れ替え中でしょうか、後のベルトコンベアは峩朗鉱山から石灰石を運搬するものですが、私が訪問
した時に稼動していたかは定かではありません。

こちらが上磯工場の全景です。

江差線朝の通勤列車は二本ありましたが、一本は上磯始発で、バック運転でした。

 

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